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国家資格【建築士】
まず初めに【建築士】について説明します!
建築士は,昭和25年に建築士法が制定され,国家資格の『一級建築士』と『二級建築士』が生まれ,
その後,昭和59年には木造に特化した『木造建築士』も新たに誕生しました。
その後,A建築士による構造計算書偽装事件を経て,平成18年12月に建築士法が改正され,
一定規模以上の建物の構造設計に関与が必要な『構造一級建築士』と,
一定規模以上の建物の設備設計に関与が必要な『設備一級建築士』が制定され,
専門性の高い建築士の仕事はさらに細分化されていくことになります。
まとめると…
建築士
- 一級建築士 (規模無制限に設計が可能)
- 構造一級建築士(一定規模以上の構造設計に関与が必要)
- 設備一級建築士(一定規模以上の設備設計に関与が必要)
- 二級建築士 (2~3階建までの木造・鉄骨・RC造の設計が可能)
- 木造建築士 (2階建以下の木造の設計が可能)
こういった感じですね。
建築士の違いや受験資格などについては,こちらの記事で詳しく書いてあります。
コチラの記事をCHECK!
さてさて長くなりましたが,
建築士の試験についてご説明いたします。
建築士試験について
建築士の試験は,大きく分けて
学科試験と製図試験の2つがあります。
7月頃に行われる学科試験を合格すると9月(一級建築士は10月)に行われる製図試験に挑むことができます。
今回の記事では,学科試験にスポットを当てて解説していきます。
最初の難関!学科試験
ここでは,主に二級建築士の試験内容についてご説明いたします!
学科試験では,4つの科目が出題されます。
学科Ⅰ「建築計画」
学科Ⅱ「建築法規」
学科Ⅲ「建築構造」
学科Ⅳ「建築施工」
名前からして難しそうですね…
学科試験の合格率は例年40%前後となっています。
それぞれの科目について詳しくみていきましょう。
学科Ⅰ「建築計画」
この科目では,建築の歴史や,建物の種類,用途ごとの部屋の必要面積,建築設備など,
建築物を設計(プランニングなど)するための必要な知識が問われます。
覚えないといけない数字が多い科目でもあります。
問題文を見ていきましょう。
日本の歴史的な建築物に関する次の記述のうち、最も不適当なものはどれか。
- 1.鹿苑寺金閣は、方形造りの舎利殿で、最上層を禅宗様仏堂風の形式とし、二層を和様仏堂風、一層を住宅風とした建築物である。
- 2.円覚寺舎利殿は、部材が細く屋根の反りが強い等の和様の特徴をもつ建築物である。
- 3.旧正宗寺三匝堂は、通称さざえ堂と呼ばれ、堂内に二重螺旋の連続する斜路を有する建築物である。
- 4.法隆寺金堂は、重層の入母屋造りの屋根をもつ堂であり、飛鳥様式で建てられた建築物である。
どうでしょうか?一般的に聞き馴染みのある金閣寺や法隆寺などのお寺についての問題です。
ちなみに答えは2番です。(円覚寺舎利殿は和様ではなく禅宗様(唐様)ですね。)
歴史が得意な方は簡単だったかもしれませんね。
学科Ⅱ「建築法規」
この科目では,建築基準法やその他建築物の関係法令が出題されます。
この科目では,法令集の持ち込みが許可されており,
問題文を読んで関係する法令を読み解かないといけません。
次の建築物のうち、建築基準法上、新築することができるものはどれか。
- 1.第一種低層住居専用地域内における3階建て、延べ面積700㎡の児童厚生施設
- 2.第二種低層住居専用地域内における2階建て、延べ面積200㎡の銀行の支店
- 3工業地域内における2階建て、延べ面積250㎡の食堂兼用住宅で、居住の用に供する部分の床面積が100㎡のもの
- 4.工業専用地域内における平屋建て、延べ面積200㎡のバッティング練習場
さてどれでしょうか??
建物を建設するにあたり,その土地の用途地域によって建物の用途や規模に制限がかかります。
ちなみに用途地域とは,計画的な市街地を形成するために、用途に応じて分けられたエリアのことです。
高層のお店が並ぶ地域は商業地域,海沿いの工場が立ち並ぶ地域は工業専用地域,住宅地は住居専用地域などそれぞれの用途ごとに分けられています。
例えば,大型の工場や商業施設が立ち並ぶところに住宅を建ててしまうと騒音や公害で快適な暮らしが保証されません。そういったことが起きないようにエリアごとに建てれる建物が決められているんです。
ちなみに答えは3番でした!
サクサクいきましょう!
つぎは学科Ⅲです。
学科Ⅲ「建築構造」
この科目は建物の構造に関する問題が出題されます。
構造力学といった物理の計算問題や構造計画,建築材料について出題されます。
苦手意識を持たれやすい科目になります。
建築物の耐震設計に関する次の記述のうち、最も不適当なものはどれか。
- 1.極めて稀に生じる地震動に対して、建築物が倒壊しないようにすることは、耐震設計の目標の一つである。
- 2.建築物の耐震性は、一般に強度と靭性によって評価されるが、靭性が乏しい場合には、強度を十分高くする必要がある。
- 3.偏心率は、各階の重心と剛心との距離(偏心距離)を当該階の弾力半径で除した値であり、その値が小さいほど、その階において特定の部材に損傷が集中する危険性が高いことを示している。
- 4.建築物の固有周期は、構造物としての質量が同じであれば、水平剛性が低いほど長くなる。
答えは、3番になります。
偏心率とは、各階の重心と剛心との距離(偏心距離)を当該階の弾力半径で除した値であり、その値が大きいほど、その階において特定の部材に損傷が集中する危険性が高いことを示しています。
意地悪な問題でしたね。
建築士はデザインのセンスだけではなく、こういう構造についての知識も必要とされます。
最後は建築施工になります。
学科Ⅳ「建築施工」
この科目では主に施工方法(工事する方法)についての記述になります。
木造住宅における木工事に関する次の記述のうち、最も不適当なものはどれか。
- 1.土台には、ひばを使用した。
- 2.大引は、腹を上端にして使用した。
- 3.床板は、木表を上にして取り付けた。
- 4.柱は、末口を土台側にして取り付けた。
答えは4番です。
樹木の根側を元口、上部を末口と言います。柱として利用する場合は、元口を下(土台側)として使用します。木が立っている状態と元の向きですね。
難化し続ける学科試験
いかがでしようか?
二級建築士の学科試験は初めの方に記述したように,例年合格率は40%前後となっています。
近年では,一級建築士試験で出題されていた問題が二級建築士でも出題されるようになり,二級建築士に求められる知識は年々多くなっています。
建築士の資格を持っているということは,それだけの建築の知識を有しているという証明にもなります。
皆さんも是非工学院で建築士を目指しましょう!